Tocult Colde

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前置き:ハーメルンにも上がっている!読もう!


時さえも凍り付く極寒の地 トカルトコルデ
大陸は氷で出来ていて 民は必死に飢えを凌ぐ
蔓延る魑魅魍魎は果てなく増え続け
巨大な歯車は古代文明の名残と化す そんな場所の とある冒険家の話


本編:一話目 トカルトコルデ


トカルトコルデ 誰が名付けたか誰も記憶していないが昔から現地の住民はそう呼ぶ 氷世界の名

私は一人 生き延びた 此処に迷い辿り着いた時 備えなく凍え死んだ仲間の物資を燃やし 暖を取り 生き延びた。

仲間を燃やし 得た灯火に希望を託し 私は逃げ場を 拠の氷の地獄からの逃げ場を探し 迷う 迷い
迷って …… 然れど見つかったのは 巨大なネジと向かいの山の麓で生きる 人の集落だった。

民は私を歓迎し 集落に招き入れた 私は彼等の先祖と同じ マロウドなる存在らしく 次元を越え 迷い 辿り着き 帰れず住み着いたのだと彼等は言う そして先祖と同じ私の境遇を知り 同情した。

私は集落に住み着いた 此処以外に行く宛等
元よりなかったとも言える 私は狩人の供をしては狩りを学び 兎を狩り 或いは艝に乗り込み 見上げる程巨大な歯車を削り 鉄屑を集める日々を過ごした。

寒さを凌ぎ生き延びる私達を襲うのは 何も冷害だけでは無かった 人という種族以外の敵対的な存在は多く 度々 狩りの途中 襲撃してくる氷と鉄の体を持つ]鉄蟻[や甦った死者を退けながら私はこの世界に 心まで凍り付きそうな程 冷酷に 残酷に 凍える世界に 興味を抱かずには居られなかった。

だからこそ拠の凍える世界に辿り着いたのだとしても探検家として 私は世界を知りたかった 拠の未知の世界を 民は肌色の 黄色の 砂漠を知らない 民は 緑色の 茶色の 草木を知らない
夜空に輝くオーロラは虹のように煌めき 民に色を忘れさせなかったが それでも民は拠の氷の世界しか知らなかった そして私は 拠の凍える世界を 知らなかった。

凍える世界で必死に生き抜く民は 何処までも優しく暖かく 彼等は私を引き留めようとはしたが
私が意思を曲げぬ事を知ると 物資が少ないにも関わらず 弓と剣を ツルハシと縄を 食糧と衣類を 私に持たせ 送り出してくれた。

世界は何処までも冷たく寒く凍える それが此処
トカルトコルデ 民は集落の外を あまり知らなかった 集落から離れすぎれば吹雪に視界を奪われた時 帰るのが難しいと 知っていたからだ
故に 私も集落の外の世界は 良く知らなかった
其処からが 私の 冒険の時間だった。


ザクッ ザクッ ザクッ 雪に靴が埋もれる 吹雪の後は 一面が銀世界だった 果てしなく 雪 雪 雪
何処を見ても 氷塊が 氷柱が 雪山が 存在していた。
地図等無い 自分の居場所はそびえ立つ 否 氷に埋もれた巨大な歯車を目印にして 確認している
今は夜に備え 雪を固め氷を切りだして]カマクラ[なる物を建築している 集落の狩人に いざ役に立つと 教えて頂いた技術だ。

夜は特に冷え込み 夜空を煌めく星々とオーロラが輝く 綺麗と言えば綺麗だが それを楽しむ余裕なんて あまりの寒さに凍り付いて砕けた
民に教えて頂いた特殊な技法で作った燃え尽きぬ炎の ]篝火[で暖を取りながら必死に寒さを凌ぐ 今回の冒険は今まで経験して来た中で 死病が蔓延し甦った死者が蔓延る砂漠と同じ位 危険なモノだろう だがそれが楽しくて仕方がない。

《は~ 寒いさぶい…》 独り言は砂漠で身に付いた癖だ 同じ光景を延々と見ながら 一人乾きに耐える旅の中 気が付けば呟くようになっていた。
《明日は 魚を釣ろう……間違えて入水自殺しない様 気を付けないと….》 あぁ そうだ 明日は心許なくなってきた食糧を確保せねばなるまい
予定を決めながら寝る準備をする…
冷たい毛布を被り 集落の日々を思い出す。
寒かったが 同時に暖かくもある場所だった
何より 孤独じゃないのが 良かったのだろう
人々に同族争いの文字は無かった 助け合わ無ければ 死が待っているからだ。

今も寒い だけど一人だ 自分で食糧を集め 自分で魔物を退け 自分だけで生きていかねばならないこの凍える世界を 《御休みなさい….》
いい加減寝よう…。

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