最初の冒険

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時さえも凍り付く極寒の地 トカルトコルデ
大陸は氷で出来ていて 民は必死に飢えを凌ぐ
蔓延る魑魅魍魎は果てなく増え続け
巨大な歯車は古代文明の名残と化す そんな場所の とある冒険家の話


実は雪の巨人に近づく前から目に付いていた大きな建築物がある 氷に埋まったような 四角形に見える斜めった建築物だ 不思議な模様と色合いをしてる。 山を下る途中 薄々気が付いていた天候の悪さが 予想通りの展開を齎した。

雪が降り始めた 粉雪の様に最初は弱く量も少なかったが かなりの勢いで強くなり まだ山も下り終えていないのにそうそう吹雪が降り始めた。 私は山を上る道中に見えていた建築物の影で吹雪を過ごそうと 雪と夜の暗さで悪くなった視界の中 まだ燃えていて光源となっている松明を掲げ 薄っすらと全容が見える建築物に近づいた。

しかし近付けば建築物に穴が見えた というより正確には入口だったのかもしれない 建築物が斜めっているにも関わらず内部の通路は斜めっていなかった。 通路は幾何学模様の彫られた水晶の様に綺麗な白い素材で出来た通路と壁 そして多少の緑や赤 青と黄色等の色で壁が装飾されていた。 通路は迷路の様になっており小部屋に繋がっていた 何も無い事があれば スイッチの付いた真四角の台座が置いてある事もあった 何が起こるかわからない為に押さなかったが。 しかし私は冒険家だ 冒険をしに来たのだ 危険だと思っていても それを味わう為にやっていると言っても良い 死にたい訳ではない しかし怖くなければ面白くもない!

故に 近くにあったスイッチを 押した。

気が付くと 私は同じように見える部屋に転移した 違いは目の前にあった壁が通路に変わっている事だ それを隠し扉が開いたとは思わなかったのは転移を何度も経験しているからだ 経験で分かった 体が一瞬硬直するその感覚は 何度も身をもって体験した転移の影響だ。

それと共に壁と床 天井越しに白く発行する人型の輪郭が見え始めた 或いは現れたのかもしれない。 <ここのモンスターか・・・?>
壁越しに輪郭が見える為に遭遇を回避する事が容易かと思われたが 迷路となっている事もあるのか それとも何もない空間から突然現れるからか 戦闘を余儀なくされた。 武器は輪郭が見え始めた時点で構えていた為 奇襲以外は対処出来た しかし奇襲で受けたダメージがそこそこ大きい。

真っ赤な姿をした人型がゆっくり歩きながら前方から近づき 殆ど黒に見える暗い紫の人型が 後ろや横から奇襲するかの如く前者とは違い走り寄ってくる。 しかし私は戦闘で攻撃から身を守る頑丈な全身鎧を身に付けている訳でもなければ 何でも切り裂くような剣を持っている訳でもない 鉄屑を集めて加工しただけの剣だ 一撃で倒せる程の攻撃力はなく敵の数がじわりじわりと増えていった。 私は暗い紫の Sと名付けた種類の個体をカウンターと共に切り裂き 押しのけて違う部屋に向かう 三十六計逃げるに如かず だ。

逃げた先にも敵は居た 真っ赤な種類 Rと名付けた奴が小部屋の入り口を塞ぐ様に立っていたが 吹き飛ばす様に勢い共に攻撃した。攻撃の勢いに耐えきれず退いたRを無視して空いた隙間を縫うようにして通り過ぎた。
最初に逃げ込んだ小部屋にはスイッチがなかった その為次に現れたS二体の内片方を勢いのまま攻撃し退け もう片方の頭を切り付け軽く硬直させる。

短い隙を見逃さず私は十字路のようになっていた小部屋から敵の輪郭が見えない方に逃げ込んだ 幸いそこには探していたスイッチが見え この場からの脱出を願って走る勢いのまま全力で押した。 次に転移した場所はRが一体待ち受けていた 小部屋から繋がる通路に逃げる為 退ける為に飛び跳ねる様に勢いをつけて攻撃した ここは迷路だ 転移を繰り返し出口を探す迷路だ。

RとSが硬いのか 私の武器が弱いのか まだ一体も倒せてはいない。もし吹雪が病んでいればそちらに外に逃げ出したが 生憎と私は入口 もとい出口の場所が分からなければ 外の様子も分からない それに <ウオラッ!> 敵はまだ沸き続けて行き先を塞ぐ 侵入者たる私を殺そうとして。 しかし倒せない敵を相手する程私も暇ではない 殺さずとも退けるならそうする だから出来るだけ止まらないようにスイッチを探しながら通路と小部屋を走り続けた。

次に見つけたスイッチは 私が一番最初に押したスイッチのあった部屋と同じ色の装飾された部屋にあった 私は部屋の色とスイッチの関係性に 情報が乏しくともある程度察しが付いていた ずばり押したスイッチのある部屋と同じ色の部屋に転移させるという事だ。

故に 一番最初のスイッチがあった部屋に 出口と繋がっている階層に転移する事を願って 目の前に現れたSに勢いのままドロップキックを仕掛けた。
相手はそれを避けきれず吹き飛び そして私はスイッチを押した。

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