白砂の夜明け 〈The Unusual Skyblock二次創作・小説〉

※本作品はThe Unusual Skyblockを舞台とした二次創作の物語です

今後のアップデート内容や、世界観を確定するものではありません。

– – – – – – – – – – – – – – – 白砂の夜明け 〈はくしゃのよあけ〉- – – – – – – – – – – – – – –

 

一流の冒険家の朝は早い。

深紅のベッドから起きると、辺りを見回してから日課の体操を始める。

朝食と着替えを手早く終えると、お気に入りの〈ネビュラロッド〉を手に持ち、拠点を飛び出す。

「今日は何処まで行けるかね」

一人の自称冒険家は自嘲するように笑い、空の監獄〈スカイブロック〉に今日も挑み続ける。

 

 

 

「実に不本意な習慣なんだけどなあ」

僕は呟きながら羊毛を置いて行く。

あの事件から、3ヶ月と少しが経っただろうか。

あの日、突如として大地が裂け、我が家ごと空高くへ連れ去られた。

そして気が付いたらこの空の世界、〈The Unusual Skyblock〉だかと書かれた場所に連れて来られた。

元の世界から大地が裂かれる時、遠くの大地に人間が見えたのだが、まだ人間には遭遇していない。

周囲に蔓延るモンスターにされてしまったのだろうか? それとも精神的苦痛に耐えられず飛び降りたのだろうか。

「どちらにしろ…」

偶然ながら生き残ってしまったのだから、今更死ぬ気にもなれないのだ。

…いや、そもそも僕だけか、あるいはこの世界全体には、「死の概念が存在しない」のだ。

 

初めて敵と遭遇した時、僕は死んだ。…死が迫る恐怖に、足が動かなかったからだ。

だがこの世界の肉体的な痛みは、地上のそれより遥かに軽かった。死でさえそうだ。

降りられるだろうと奈落に落ちても、永遠に地上は見えず死を遂げる。

そして死の後は代償と引き換えに、否応無く生き返ってしまう。まるでゲームのように、夢から覚めたように。

「牧師さん、おはよう」

『おお、おはよう。昨日は…良く眠れたか?』

 

〈交易島〉まで足を運ぶと、協会の牧師さんに声をかける。

だがこんな他愛無い会話の一つに、〈ゲーム〉のような感覚を覚えている面もある。

そもそも最初からおかしいのだ。あの現象に意識を飛ばされた後目を見開くと、地上では絶対に見たことの無い巨大な鉄柵の鳥かごの中に居た。

そこで見たのは天空で生き残るための注意書き〈チュートリアル〉、明らかにこの天空に順応し切った対応を見せる人々〈NPC〉、物理法則に反した能力の入手〈職業〉。

大前提として空に浮いている時点で、まるで〈ゲーム〉の中だとしか考えられない。

最初の一日を泣き叫んで過ごし、一週間を食わず飲まずで過ごし、一ヶ月を深い絶望の中で過ごした。

(今でこそ諦めて順応し始めている事が自分でも信じられないよなあ)

浮いた島々を〈攻略〉する要素に目を向け、あるいは全て攻略すれば地上に帰れるかもしれない、と言うのが現状たった一つの生きる理由だ。

 

「ええ、そこそこ眠れましたが?」

『ほお、あの変異の中眠れるとは…中々豪胆な所もあるのじゃな』

「変異、ですか?」

『なんだ、今日はそれでここに来たんじゃ無かったのか?』

「いえ、島の攻略度を聞こうと思っていて」

『ふむ…それなら丁度良い、現在の攻略度は…これじゃ』

光に包まれ、白い石板が現れる。 牧師のみ持つことが出来る島の攻略を表す石板で、毎度お世話になっている。

「…!!!」

〈攻略度: 26 / 51〉

そこに書かれている数字は、

紛れもなく島の数が1つ増えている事を表していた。

 

 

 

♦       新ディメンション

「なんだこれ… 〈超大型級〉の枠…」

この石板は、〈エリア〉毎に攻略度の枠が個別に取られている。

今自分がいるエリアが〈通常世界〉、最初に目覚めた鳥かごのような場所が〈クラウディア〉と言った様に

遠く離れた場所にある島の集合体を、1エリアとして区切っているので現在地がどのエリアかは明確に分かる。

そして、今回の事件の核は、51個目の新島が〈新エリア〉として分けられている事にある。

自分が島攻略ペースは悪くないだろうと思っているのは、その島々が単体サイズとして大きくないからであり、

結論から言うと「1島増えたぐらいなら、まあ許容範囲内だ」と思っていた。

だが現実は違った。〈超大型級〉となると、その島の攻略速度は格段に落ち、地上への帰還も望み薄い物となってしまう。

(〈地下世界〉の時は、どれだけ時間取られたか…)

思わず毒づきたくなってしまうが、今更進むしかない、と気持ちを切り替えた。

 

しかし、更に厄介な事に気付いた。

「このエリア…名前が掠れていて読めない…」

『それが問題なんじゃ。石板の文字が読めないのは初めてでな… 見た所砂漠のような島だったが』

今までの経験上、島の名前からどんな敵が出て、どんな仕掛けがあるのかは大体想像できていた…のだが、今回それは使えない。全く未知の凶悪なエリアが控えているのだ。

これは本当に厄介だ、面倒だとも思ってしまうが手を止めるわけにはいかない。

 

「それで、その島は何処に?」

遠く離れた場所、別エリアと言う事は「そこへ繋がるゲートがある島」も例外なく存在する。

島の位置が中心から高く、遠い程島の難易度が上がる事を思い浮かべながら聞いてみた。☆

『〈神木島〉の下あたりだったかの…〈旧文明の遠目薬〉で見た限りじゃが』

「なるほど…難易度は中の上辺りかなあ」

『冒険者さん、あの島へ行かれるのか?』

僕は少し考えてから、結論を出す。

「向かいます。〈地下世界〉で手に入れたアイテムもありますし、何より僕が知る限り島の追加現象は初めてです。

それも〈超大型級〉の島なら、何かしらヒントが有るかも知れないですしね!」

「地上に帰る為に」、と言うのはこの天空に生きる物に余計な誤解を与えかねないので伏せて置いた。

『そうか…気を付けて行きなさい、〈聖水〉も忘れずに持っていくといい』

「はい、行ってきます!」

長い旅の、始まりだった。

 

 

 

ゲートを抜けた先では、視界が全面砂で覆われていた。

「う゛ぉっふあ!?」

言葉にすらならない声を上げ、砂の上に倒れる。

どうやら真上から砂の塊が落ちてきたようだ。何とも幸先が悪い。

必死の抵抗で抜け出すと、そこは砂漠のような砂塗れの島が上下左右に浮いており、大自然を感じる場所だった。

むき出しの砂岩や地層が、大陸から乱雑に引き抜かれた地上の様子を想起させる。

「ここが…新エリア…」

地上では茨城県の、緑は豊かだが交通の便には困らない場所に暮らしていたが為、

あまり自然に対しての興味は無かったし、活発的に走り回る事も無かった。

しかしそんな自分でも、この隆起した砂漠には魅力を感じざるを得ない。そんなエリアだった。

 

しばらくその地形を見ていたが、空から降って来た第二の物体によりその回想は解かれた。

『うわああぁぁぁあヴぉふっ』

大声で叫びながら、先程まで自分が埋もれていた砂の塊に直撃した。

「なんですとぉ!?」

思わず反射的に後ろへ飛んでしまう。

『ぼぼぼ助けぼぼぼぼヴぉ』☆

 

『いやーお恥ずかしい所をお見せしてしまいました』

さっきまで窒息死しそうだったのに随分元気だな…

「いや、それは良いんだけど…君は?」

『私の名前はミナ、砂漠を観光してて気付いたらここに居たの』

ミナ。砂漠、観光…?

「まさか…地上に居たの?」

『地上?ああ、ここをお空としたら地上になるのかな…?』

全身に衝撃が走る。反応からして、〈二回目の大地浮上〉が起きたのだろうか。

まさかここで地上の人間に会えるなんて。

「取り敢えず色々話がしたいんだけど、しばらく付き合ってくれない?」

取り合えず情報を集めるのが先だろうか。

『えっ…ちょっと初めて会ったばかりの人に告白されるのはちょっt』

「愛の告白じゃないからね?」

-> 反応に困る。取り敢えず訂正をしておいて話を進めよう。

 

「僕は4か月前位からここに来ているんだ。地上はどうなっているんだ?」

『一部地域の地面が突然消えた〈大地切断〉だよね。凄い大騒ぎになってたよ』

「異世界に飛ばされた訳では無く地上で実際に起きた事件…か。実質ここも異世界のようなものだけど」

『そうなるね、日本では関東地方と中国地方が消えたんだっけ。日本はまだ被害の薄いほうだった気がする。

私はさっきまでサハラ砂漠へ向かってたんだけど。うー』

となると今回抜き取られたのは砂漠だけだろうか。人が少ない場所を狙って抜き取っているようにも思える。

 

地上の事を知れたのは、一人で心細かった自分にとって僥倖な事だろう。

かくして攻略パーティー(2人)の誕生である。

 

 

 

「〈アイスストーム〉! スイッチ頼む!」

『〈ステークスファイア〉、10倍カモン!』

一度職業を決め(砂漠に直接落とされたため)、スキルを設定し直した二人は砂漠の敵を狩ってゆく。

これが画面越しのゲームであれば連携する程の余裕は無いのだろうが、ここは良くも悪くも現実である。

〈黒魔術師〉の基本魔法〈アイスストーム〉で敵を凍結させた後、〈狩人〉の基本スキル〈ステークスファイア〉で敵を刈り取る。

後者の弓技は「矢の火力が10倍か0倍になる」と言ったギャンブル技なのだが、敵が凍結している為失敗しても何度も狙い放題なのだ。

(そもそも、ミナの運が高すぎるのか9割近くの確立で10倍になるんだけどな…)

自分はそんな運を持っていないだけに、羨ましくて堪らないのだが仮にも生死が掛かっている為今は感謝する他ない。

一通り敵を殲滅し、敵の出現条件〈スポナー〉を破壊する。

隆起した地形を駆け上がり、〈地下世界〉でストックを貯めて置いた〈エンダーパール〉で上下左右に散らばる島へと移動する。

〈エンダーパール〉は投擲アイテムで、着弾した地点に投擲手をワープさせる。便利なアイテムだが、肉体的負荷としてHPが減るのが玉に瑕である。

一日で周辺の島3つを制圧し、その日は眠りについた。

 

二日目、ピラミッドの建築物がある島へと向かった。

砂漠は〈アドベンチャーモード〉と呼ばれるバッドステータスを受けるエリアで、ブロックの設置/破壊が出来ないモードだ。

その為、〈通常世界〉でやって来た「爆発物を大量に置いて島ごと爆破」という攻略法が出来ない。

ピラミッドに天井を開けて侵入する事すら出来ないのだ。

「見た限り…超巨大なダンジョンみたいだな」

もしかしたらテレビにも出る類のピラミッドが来ているのかもしれない。

(今回の…〈大地切断〉は大損害だろうな…)

地上での恐慌具合を思い浮かべつつ、作戦を練る。

この天空は空気中にナントカ物質…(覚えるのが面倒で自分では魔力と捉えている)があるのだが

その魔力はスキルや魔法を使うと体内から消費されていく。

空気を吸えば魔力は体に入ってくるため、戦闘時でも問題なく魔力は回復する。

その為、厳密なマナコントロールは必要ないが、それでも不測の事態で死ぬ事は避けたいので、軽くミーティングをするのだ。

「僕の手札は行動阻害〈アイスストーム〉、ダメージ〈サンダーボルト〉、遠距離攻撃遮断〈ウィンドウォール〉、魔力回復増強〈マナリフレッシュ〉だけど、ミナは?」

『〈チェインアロー〉、〈ステークスファイア〉、〈ルカナントラップ〉、〈ボミオストラップ〉の4つだよ』

「そうなると…」

 

偵察の敵状況を元にシュミレーションを行う。一人の時は感覚である程度補えたが、本格的な連携となると話は別だ。

「敵は小型の紙魚、移動速度の高いハスクが基本。元ネタ的にもツタンカーメンを基調としたボスが予測できるね。

紙魚は単体ならボミオスで行動阻害した後に〈サンダーボルト〉の火力で処理、

複数体ならボミオス+ルカナンの防御低下からチェインアローをハスク等の当てやすい敵に当てて処理出来そうだね」

『周囲の敵を回復させる薬を巻く敵が居たから、見かけたら長期戦、と』

「そうだね、僕が〈マナリフレッシュ〉で魔力回復を優先させるから、無駄の無いようにトラップを回して、敵の回復役に〈ステークスファイア〉でダメージをお願い」

『判った、〈マナリフレッシュ〉分の魔力を取り戻したら頃合いを見て攻撃魔法をして欲しいな』

 

口ぶりや雰囲気は優しめのミナだが、意外にも状況の把握や順応、考察は中々上手いようだ。

「よし、後は臨機応変に動いて、危なくなったら退避も忘れないように。これで大丈夫かな?」

連携を取るには時間やレベルも足りないのだろう。だが今やらないと二度とこの攻略が出来ないような、そんな気が僕にはしている。

『そういえば、まだ君の名前を聞いてなかったね。なんて言うの?』

「それは僕にも分からないんだ。取り敢えず好きなように呼んでくれ」

そう、「死後は代償と引き換えに、否応無く生き返ってしまう。」

その代償、それは自身の記憶である。

始めは日常生活に支障はないレベルだったが、最近僕の名前が思い出せない。

(もしかしたら、地上からのメッセージやヒントが隠されているかもしれない)

いつか記憶を取り戻せると信じて、僕は前へと進み続ける。

作戦は決まった。高らかに声を上げると、〈ピラミッド〉ダンジョンの扉を叩く。

〈砂漠〉三大ダンジョンの一つを攻略する戦いが今、始まった。

 

 

 

☆稚拙な文章ですが、読んで頂けたら有難く思います!

続き —-> いつか(失踪)

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