Gene Over Write #2
~ Gene Over Write ~
#2
少しの決断
やっぱりユイのことが気になる。あいつのことが好き?いや、まさかまさか。
ユイはいつも一生懸命でイゴも楽しそうに使っていたな。
「イゴ、かぁ。まだ研究中の技術でもあるし何が起きるかわからないけど何かと便利なことがあるのだろうか。悪用する人が出てこないといいけど、、」
明日は休日だしイゴについて考えてみるか。そう考えて布団に入った。今夜も静寂が訪れる。
「そらー?なんかSSGからメールが届いているわよー?」
母さんか。まだ朝7時だってのに、、、休日くらい長く寝かせてくれ。あー眠い。好きなだけ眠れる能力とか欲しいな、なんつって。SSGからのメールを開封してみる。
To:加藤 創瀬 様
SSG総合遺伝子研究室室長の山本和則です。
まず小鳥遊さんのことですが、容態は順調に回復しています。しかし皮膚の変化については今の所改善は見られません。また、調査をしていますが分析中です。そしてご案内になってしまいますがソラさんもIGOを取得して見てはどうでしょうか。個人的な判断ですが小鳥遊さんと同じようにIGOを持てば彼女も少しは気持ちが軽くなると思いまして。余計なことでしたら申し訳ありません。
From:SSG
え?これだけ?まぁユイのことが知れて少しは安心したけど後半部分は何?なんで僕にイゴを誘ってんの?でも少しは興味あるし話してみるか。
「ねぇ母さん、僕がもしイゴを身につけたいって言ったらどうする?」
唐突な質問に母さんは少し驚いた様子だった。
「そうね、ソラのことだしそういうの興味あったんでしょ?私は構わないけどお金とか大丈夫かしら、、?」
あ、そうだった。国の援助があるにしろそれなりにお金はかかる。バイトを増やさないといけないかもな。こんなにあっさり決めていいのかわからないけれどとにかく母さんとSSG総合病院に行ってみる。
昔に比べてスマホを使う人は少なくなった。MR技術が発展しすぎて手に持つ必要がなくなり人々は専用のメガネをつけるようになった。空中で手を振って操作するが側から見れば昔は変な人に思われていただろう。僕もMRグラスは持っているがなぜか目が疲れるから必要な時以外は外すようにしている。そのうちフルダイブとかもできるようになるのだろうか。
「よっす。元気にしてるか?」
ユイはベッドの上で本を読んでいた。今時紙の本なんて珍しいな。
「元気も何も病院にいるのよ?もぉ。医師には疲れは取れて体調も回復したと言われているけれどやっぱりこの肩にできた青いあざみたいな時空が裂けたような皮膚は何も変わってないわね。」まだ残っているのか。何か嫌なことでも起きなければいいが、、。
「あ、そうそう。今日もいちごみるくよろしくぅ」
「いや、ユイはもう皮膚以外は大丈夫だろ、、自分で買いに行けよ、、」
「買って買ってー!ユイ、泣いちゃうぞっ!」
は、なんだこいつ。まぁいいやめんどくさいし。
「ったって。買ってきてやるよ。しゃーねーなぁ」
ユイは笑った。いや、ドキッとなんてしてないしてない。ただ彼女の笑顔を見るとなぜだか安心する。僕はこの笑顔を守りたいのかも知れない。
ガラガラガラ..
「お、ソラか。おめーも来てたのか。」
彼らの名前は南風相馬(ミナミカゼソウマ)と桐谷幸希(キリタニコウキ)だ。同級生で親友みたいなもんだ。ソウマとコウキは2人ともイゴは持っていない。ソラのこともあって少し興味を持ったらしいがどうなのだろうか。
「おぅ。SSGから手紙があってそのついでに、、」
そのついで、っていうとソラがかわいそうな気もしたがこいつら相手だし気にすることはないか。「SSGからぁ!?そりゃぁ驚きだな」
コウキは少し驚いた様子で言った。そんなに驚くことなのだろうか。ソウマとコウキはユイの病室に入って行った。よし、IGO取得してみるか。そう思って僕はSSG本部へ足を踏み入れた。
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