骸狩り
トカルトコルデモチーフの二次創作みたいな奴
雪を払い 見付けた氷の向こうを泳ぐ魚の住み処
氷に穴を開け竿を固定し釣り針垂らしたまま
凍え死んだマロウドを探す 物資が必要だ。
骸は何処かに向かっていく 彼等には彼等なりの目的地があるらしく 何度か遠くに見掛けては観察した だがこれからは積極的に狩る積もりだ そうしないと物資が尽きてしまう。
骸は生前の衣類も道具も所持している 狩れば篝火作りで減った物資の補給が出来る事もある
特に集落に比べ 骸は多い つまりは意外にもマロウドが多い事を示すため 木の入手が期待出来る。
何にせよ物資は重要だ 私の命綱なのだから 集落に戻れば余り心配せずに済むだろうが 私は冒険家だ 冒険しに来たのだ 旅をせねばなるまい 集落に戻るのは最後の選択だ。
空の光を反射し青くも見える氷の大地と 銀世界を作り出す降り積もった雪 世界は冷たい まるで現実のように ほら 彼処にも現実の被害者がいる。 《ふぅ……スゥ-……ウアアアアアアアアアアアア!!!此方を見ろー!!!》腹の底から声を出して襤褸を纏った骸に呼び掛ける 此方に来い!と。
骸の頭が此方を向いた 少し遠いがよく見える 綺麗な白骨死体 その手には木のステッキが握られて杖の代わりをしていた あぁ 良かった 燃える物を持っているなんて運が良い。
骸はハッキリ言って強く無い 稀に襲ってくる鉄蟻のが脅威だ 骸はしっかりとした武器を持たぬなら其の体は脆く 集落から持ってきた鉄の剣で簡単に砕く事が出来る その点 鉄蟻は氷と鉄の体を持つだけあって丈夫で硬い 鉄の部分に剣が当てれば刃が欠け凹む 氷の部分だけに当てていけば全身を粉々に砕く事が出来るが 成功したのは氷が割合の多い個体だけだ。
ガシャッ やって来た骸の腕を砕き 頭を砕き 膝を砕き 体を砕く 動かない事を確認して 物資を頂戴する生きる為だし 砂漠で何度も経験した行為だ 躊躇は無い 。
目星い物は特に無く 精々身に纏っていた布切れと杖代わりの木の棒だけ まぁ組み合わせて松明に出来るだろう 不満なんて 有る訳無い これさえも貴重な物資なのだから。
釣り針に引っ掛かっていた魚を篝火で焼いて食う 味付けはしてないから大満足とは行かないが 食わねば死ぬ 満足だ。 腹ごしらえを終え物資を調達した事だし旅の続きを始めよう 向こうに見える地面の灰色を目指して。
ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ タンッ
あぁ この灰色は金属の灰色だったか ]イブシギン[とも言える 銀色だ そしてコレも民が語った古代文明の遺物なのだろう 余りにも巨大なコレはナットのようだ 否 ナットだ 間違いない そしてナットの内側の穴は私が居る地上と地下を繋げて居るらしい…… この氷の世界に地下があるなんて知りもしなかった 民からも聞かなかったし 知らないのだろう。
地下には興味を引かれたが 降りる道具何てない 冒険しに来たとはいえ 命あってコソだ 自殺する為に集落を出た訳じゃないんだから。
地面に埋まったナットから離れ 丘を目指す 緩やかな上り坂を越えるのだ その向こう側に見える 氷山を目指して。